自然の力を生かした家づくり【Vol.1】

家づくりのポイント

2020年6月5日

穏やかな日差しがたっぷりと降り注ぎ、
爽やかな風が部屋の中を通り抜ける──
快適な空間を実現するためには、 光や風といった自然の力が欠かせません。
より明るく、暖かく、 いつも新鮮な空気が巡る住まい。
そんな理想の家をかなえるための工夫について、一般社団法人 京都府建築士会 木造建築研究会の市川宣広さんにうかがいました。

【Vol.1】土地が向く方角と日照の関係を知る

部屋の明るさと温度に直接影響するのは、太陽の光です。家が建つ土地がどの方角に向いているかで、日照条件が変わります。一般的に考えられている方角によるメリット・デメリットをまずはおさえておきましょう。
敷地の前面道路が南向きの場合は常に日当たりがよく暖かですが、夏は当然暑くなります。「暑さが苦手な方、昼間は家を空けがちでカーテンなどを閉め切っていることが多い方は、南向きの土地のメリットを享受できないかもしれません」と市川さん。比較的安価な、ほかの方角の土地を選び、余った予算で家の設備を充実させるのも一手だと言います。


前面道路が北にある北向きの土地の場合、北側にガレージなどを配し、南側には庭やプライバシーが守られた大きな窓をつくることもできます。ただし、南側にほかの建物があれば直射日光が入りにくく、温熱を伴った明るさは望めませんが、「夏の暑さが苦手という方にはおすすめです」


時間帯で日照条件が変化する東や西向きの土地はどうでしょう。「西向きの土地は、夏の午前中は明るく爽やかな光が注ぎますが、午後からは厳しい暑さに。東向きはその逆です。また、南や北向きの土地ほど、安定した明るさは望めません。太陽が逆の方角にある時間帯に明るさを取り込む工夫が必要となります」


このように土地は、向いている方角によってそれぞれの特徴がありますが、それが「明るさや暖かさの絶対条件ではない」と市川さん。「自由設計で新築する場合、間取りなどを工夫することで、それらのデメリットをカバーできることも大いにあります。土地の向きだけに固執せず、工務店や設計事務所と相談し、配置計画をしっかりと立てていきましょう」

方角別 土地のメリット・デメリット

【南向きの土地】

〇日当たりがよい
〇明るい家になりやすい
×夏は暑い

【北向きの土地】

○‌南側に光が差し込む大きな窓があるリビングをつくりやすい
×‌周囲を建物で囲まれると、日当たりが良くない

【東向きの土地】

○‌朝日、午前中の光が家の中に入りやすい
×日照時間が短い
×‌南側に別の建物がある場合、日照が遮られることがある

【西向きの土地】

○‌冬でも、日照時間が多く、暖かい
×夏は西日対策が必要
×‌南側に別の建物がある場合、日照を遮られることがある

教えてくれたのは

一般社団法人 京都府建築士会

一級・二級建築士、木造建築士など、設計や施工分野のプロフェッショナルのほか、行政や研究機関の職員も参加する団体。会員は京都府下の支部を含め約1,800人。建築士向け講習会の開催、建築関係法令の周知普及、京都のまちづくりへの助成、空き家相談、伝統家屋や木造建築物の研究などを行っている。

京都でかなえる家づくり表紙

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