一見使いにくそうな土地も、アイデア次第でうんと快適に過ごせる方法がたくさんあります。
狭かったり段差があるなど、整形地に比べて家づくりの課題が多く見える敷地は 設計や施工に工夫をこらせば、土地のデメリットがプラスに転じることも。
そのヒントを京都建築専門学校の佐野春仁先生にうかがいました。
思い描いた快適な住まいをつくるには、敷地の形状や道路に面する方角など土地の性格を知ることが大切です。とりわけ『狭小地』『旗竿地』『細長地』『段地・傾斜地』といったクセのある土地では、間取りや家の配置を工夫することが必要になります。そのためには、近隣住宅の建築状況や眺め、日差し、風通しといった周辺情報も踏まえて、プランニングを行いたいもの。
また、一般的に家を建てるには課題が多いと思われているクセのある敷地は、逆に土地価格が安いというメリットが。家づくりを検討する際に、立地やコスト面などを優先するようであれば、こうした土地を活用しない手はありません。
クセがある土地の一例
狭小地
一般的には約15坪未満の小さい敷地を指す場合が多いようです。なかには三角形や台形などの変形地、間口が狭いケースも。
旗竿地
道路に面する狭い敷地が袋地に向かって細く延びた土地。竿にあたる部分がアプローチで、袋地が住宅を建てる敷地になります。
細長地
間口と奥行きの比率が大きく異なる敷地です。京都では「うなぎの寝床」とも呼ばれ、市内の中心部に多く見られます。
段地・傾斜地
敷地内に段差や傾斜がある土地。平地に比べて、がけ条例対策や高低差解消工事などの費用が発生する場合もあります。
クセがある土地の一般的なイメージ
狭小地や旗竿地、細長地など特徴的な土地に関する一般的なイメージをピックアップしてみました。
- 庭をつくるスペースがない
- ゆったりくつろげる広い部屋を設けにくい
- ライフスタイルの変化に対応しづらい
- アプローチに敷地面積をとられる
- 敷地内に高低差が生じる
- 採光が確保しにくい
- 開放的で広がりのある空間をつくりにくい
次回から、具体的な活用テクニックを紹介していきます。ぜひチェックを!
教えてくれたのは
京都建築専門学校
佐野春仁 教務主任
よしやまち町家研究室代表
京都大学工学部建築学科卒業。一級建築士。財団法人啓明社理事やNPO法人緑の列島ネットワーク理事などを務める。京都市平成の京町家伝統型モデル棟の設計をはじめ、伝統や文化を生かした研究・開発などに取り組む