一見使いにくそうな土地も、アイデア次第でうんと快適に過ごせる方法がたくさんあります。
狭かったり段差があるなど、整形地に比べて家づくりの課題が多く見える敷地は 設計や施工に工夫をこらせば、土地のデメリットがプラスに転じることも。
そのヒントを京都建築専門学校の佐野春仁先生にうかがいました。
土地のクセを逆手に取って快適な住まいをつくる
課題が多い土地でも、しっかりプランニングを行った上で適切な工夫を施せば、心地良い生活空間をかなえることができます。
そのための秘訣は、あれもこれも実現しようとしないこと。家づくりの軸となるテーマをもとに、家族が何を必要としているかなど重視すべき要素をしっかり見極めて課題に向き合いましょう。そうすることで、限られた敷地と予算の中で、デメリットをメリットにシフトできるアイデアが生まれます。
前回に続いて、解決方法の一例をご紹介します。
心配その3.ライフスタイルの変化に対応しづらい
【technic】用途変更がしやすい間取りにすれば対応可
クセがある土地では、水回りなど間取りに制約があり、ライフスタイルの変化に対応しづらいことも。将来的に使用目的が変わることが予想される部屋があれば、あらかじめ間仕切りや建具を生かした設計を施しましょう。例えば子ども部屋の場合、成長に応じて持ち物が増えたり種類が変わるなど、年齢に合わせた対応がつねに求められます。そんな時は、可変の間仕切りなら位置を変更することで、収納スペースを新たに設けられるなど、柔軟に対応できます。
心配その4.アプローチに敷地面積をとられる
【technic】魅力的なアプローチで豊かな外構に
広い敷地がなければ難しいと思われがちな緑あふれる外構。旗竿地ならアプローチを生かして豊かな外構をつくることができます。また袋地に住宅が建つので道路からは家の一部分だけしか見えないため外観のコストが比較的抑えられるのも旗竿地のメリットです。ただし防犯面で不安を感じる場合には、アプローチに門や防犯ライトを備えつけましょう。
心配その5.敷地内に高低差が生じる
【technic】高低差を生かして眺望のよい住まいに
段地や傾斜地はがけの整備や高低差を解消するための工事費用が発生しますが、2階にリビングを設けるなど敷地を立体的に利用すれば、家から素晴らしい眺めが望めたり、敷地面積を増やすことも可能です。また採光も確保しやすいため、自然エネルギーを生かした快適な住環境づくりも。
教えてくれたのは
京都建築専門学校
佐野春仁 教務主任
よしやまち町家研究室代表
京都大学工学部建築学科卒業。一級建築士。財団法人啓明社理事やNPO法人緑の列島ネットワーク理事などを務める。京都市平成の京町家伝統型モデル棟の設計をはじめ、伝統や文化を生かした研究・開発などに取り組む