家づくりの中でしばしば耳にする言葉の一つ「動線」。 動線とは、人のさまざまな動きの流れ(軌跡)を指します。 実はこの動線をいかに計画するかが、 家づくりの成否を分けるともいわれています。
押さえておきたい動線の基礎知識と、 具体的なプランの考え方を探ってみましょう。
【ケーススタディ】暮らしやすい動線づくり
心地良い間取りは家族によって千差万別ですが、ここでは特に気になる動線の考え方をご紹介。さまざまなプランを参考に、〝わが家〟流の暮らしをつくる動線計画を立ててみてください。
子どもを目いっぱい遊ばせる
新しい住まいでは子どもをのびのびと遊ばせたい─そんな夢を抱いている人も多いでしょう。そのためには子どもが目いっぱい動き回れる動線計画も立てておきたいもの。
子どもを中心としたプランで、近ごろよく採用されているのがリビング階段です。かつては居室の外に置かれることが多かった階段ですが、リビングの中に置くと階段室が不要となり居室スペースを広く取りやすいメリットがあります。また親子のコミュニケーションが増すという声も。
さらに部屋やテラスにドアを複数設けて通り抜け可能にすると、楽しい回遊動線が生まれ、子どもが走り回れる住まいになりそうです。
また外遊びが大好きな子どもがいる家庭では庭から直接水回りに入るプランも有効。泥だらけで帰った子どもが洗面所や浴室にすぐアクセスすれば、玄関などを汚す心配がありません。勝手口そばの戸外に蛇口を設けてそこで手洗いができるようにし、子ども用の裏動線をつくるというのも一手です。
CASE4 リビング階段で2フロアを回遊
家を最高の癒やしの場にする
「わが家」は心身が一番癒やされる場でありたいもの。そのためにはストレスの少ない動線をつくることが必要です。
特に大事にしたいのが睡眠までの一連の動作。お風呂から上がってすっと寝室に向かう動線をつくれば、心身のリラックス状態を維持したまま眠りにつけそうです。逆に、入浴後玄関などのパブリックゾーンを通らなければならない動線は緊張をよみがえらせてしまいます。浴室と寝室を近くに配置するのは実は欧米ではよくある間取りです。休息を重視したい家庭では「入浴動線」を真剣に考えても良いかもしれません。
また植物や開放的な空間が癒やしをもたらす庭は、動線計画によってはさらにその効果が高まる装置となります。例えば庭へのアクセスを一方向からだけでなく、複数の動線で確保しておくと、回遊性が高くなる上、眺めのバリエーションが生まれます。その結果、実際の空間より広さを感じさせる効果も。
動線計画は、うるおいのある住まいに近づく一歩でもあります。