リフォームの目的は、生活する人の世代やライフスタイルによってさまざま。人生の段階に応じた、リフォームの疑問について、京都建築専門学校の佐野春仁先生に教えてもらいました。
リフォーム前に知っておくべきこと
まずは家の現状の構造を把握しておきましょう。
昭和40年代以前に建てられた家なら、現在の建築基準法の条件を満たさず構造補強が必要な場合もあり、大規模なリフォームになることがあります。また、家の“健康診断”を行うことで、普段は見えない壁の中の結露が見つかることも。
リフォーム時にこうした問題を一気に解消したいものです。
子育て世代のリフォーム
夫婦二人暮らしから、新しい家族が増えた世代では、育児のしやすい間取りや、子どもの成長に合わせた間取りが必要になってきます。
Q子育てのしやすい間取りって?
A.子どもにとっては母親の姿が見えることが一番の安らぎ。お互いの姿を確認できるように、キッチンからリビングまで連続する空間にしたり、対面式キッチンやリビングスルーの階段を取り入れたりするのがおすすめ。
大きな引き戸で間仕切りをつくれば、空間に変化がつくだけでなく、将来独立した部屋にすることもできます。
Q子どもの成長に合わせて部屋を増やせる?
A.子どもは9歳くらいになると自分だけの空間が欲しくなることが多いもの。増築以外で新しい部屋をつくるには、間仕切りを使って空間を設けるのが有効。子どもの独立後のことも考えて、あとで間仕切りを除去できるよう設計するのもポイントです。
また、リビングやダイニングにちょっとしたカウンターやテーブルを造作し、スタディスペースにするのも良いでしょう。
二世帯同居のリフォーム
世帯それぞれのライフスタイルに配慮して、お互いがストレスを感じることなく、コミュニケーションの取れるリフォームがポイント。また、将来を見据えた工夫も必要です。
Q二世帯が暮らしやすい間取りは?
A.それぞれ他人の住まいとして設定し、できるだけ独立性を保てる間取りが理想です。その上で、一緒に食事をとるダイニングなどの空間を共有するのがスムーズでしょう。
また、両親の寝室は、生活音のするリビングなどから離れた位置に設けるのが良いとされています。
Q両親が高齢になったときに困らない工夫は?
高齢になり、これまでと同じ生活を送るのが難しくなることを考慮して、両親の居室は階段の上り下りが不要な1階やトイレ・浴室の近くにつくるのが良いと思います。段差をなくしたり、手すりを設置するなどのバリアフリー化も考えておきましょう。