最近よく耳にする「サステナブル」。住宅建築の分野においても注目されているキーワードです。サステナブルな家とは? また、どのようにすればサステナブルな家づくりができるのか。京都工芸繊維大学准教授の木下昌大さんに教えてもらいました。
サステナブルとは
「持続可能な」という意味の英語。よりよい社会の実現を目指して国連サミットで掲げられた「持続可能な開発目標(※SDGs=エスディージーズ)」に基づき、さまざまな分野への取り組みが行われています。
※Sustainable Development Goals
建てた後もメンテナンスに関心を
住まい手自身で細かくチェック
メンテナンスのタイミングを考える
長く住み続けることができるサステナブルな家を実現するためには、メンテナンスが不可欠。
プランニングの段階でメンテナンスのタイミングを考え、いざというときの資金を確保しておきましょう。
設備機器で約10〜15年、外壁や屋根は約20年など時期の目安はありますが、保証期間より短めに想定し、備えておくほうがベターです。
定期的に住まいの保守管理を
劣化や破損が激しくなってからでは、修繕に掛かる費用が高くなってしまいます。
ビルダーによる定期点検はもちろん、住まい手も時々自分の目でチェックしましょう。
特に傷みやすい場所は、風雨にさらされる屋根材と、窓周りのシール(充填剤)です。また、破損したらたちまち住めなくなる、ということがない設計の工夫を建築時にしてもらうと安心です。
家と設備のメンテナンスの目安
■家の外壁
- 2〜4年ごと……汚れ・亀裂・はがれ・サビなどのチェック
- 3〜5年……塗り替えやトップコートの吹き替え
- 15〜20年……張り替えなど全面補修
■屋根
- 4〜6年ごと……瓦など屋根材料のズレ・割れ・サビなどのチェック
- 15〜30年……葺き替え
■玄関ドア・雨戸・網戸・サッシ(アルミ製)
- 2〜3年ごと……建て付け・腐食などのチェック・補修
- 5年ごと……サッシ周りのシール(充填剤)のチェック・補修
- 20〜30年……取り替え
■キッチン・浴室
- 適宜……水漏れ・詰まり・ヒビなどは適宜補修
- 10〜20年ごと……配管や設備の取り替え
【メリットの多いサステナブルな家づくり】
●住まい手に優しい
エアコンに頼りすぎず、自然の力を利用したプランニング&設計により、健康で心地良く過ごせる家に。長く住むことで家自体に愛着や思い出が生まれ心豊かに暮らせます。
●環境に優しい
自然に悪影響を与えない建材やクリーンエネルギーなどを採用することで、環境に優しい家になります。将来的にスクラップ&ビルドによる廃棄物の削減にもつながります。
●お財布に優しい
強い躯体と高断熱などの性能を備えることで、光熱費やメンテナンス費用を抑えられます。また、同じ家で次世代まで住み継ぐことができると、長い目で見ても経済的に。
教えてくれたのは
京都工芸繊維大学 工芸科学部
デザイン科学域 デザイン・建築学課程
准教授 木下昌大さん
持続可能な建築をテーマに研究・指導を行うとともに、一級建築士として公共施設や住宅等の建築を幅広く手掛ける。日本建築協会優秀建築2019、グッドデザイン賞2019、台北インターナショナルデザインアワード2019審査員特別賞等受賞歴も多数。