クセがある土地の上手な使い方【Vol.4】

家づくりのポイント

2020年12月25日

一見使いにくそうな土地も、アイデア次第でうんと快適に過ごせる方法がたくさんあります。
狭かったり段差があるなど、整形地に比べて家づくりの課題が多く見える敷地は 設計や施工に工夫をこらせば、土地のデメリットがプラスに転じることも。
そのヒントを京都建築専門学校の佐野春仁先生にうかがいました。

土地のクセを逆手に取って快適な住まいをつくる

課題が多い土地でも、しっかりプランニングを行った上で適切な工夫を施せば、心地良い生活空間をかなえることができます。
そのための秘訣は、あれもこれも実現しようとしないこと。家づくりの軸となるテーマをもとに、家族が何を必要としているかなど重視すべき要素をしっかり見極めて課題に向き合いましょう。そうすることで、限られた敷地と予算の中で、デメリットをメリットにシフトできるアイデアが生まれます。
前回に続いて、解決方法の一例をご紹介します。

心配その6.採光が確保しにくい

【technic】トップライト+吹き抜けで、明るさと開放感を確保

トップライトと吹き抜けの併用は、家の隅々まで光が届くだけでなく、空間を広く見せる効果もあるので、周りに家が建て込むことが多い土地にたいへん有効です。トップライトは、壁に同じ大きさの窓を設けた場合と比べて明るさが約3倍も違います。
ただし、夏場は真上から自然光が注ぐので、設置位置を選び遮光の工夫をしないと、室内の温度が高くなるので気をつけましょう。

トップライトと吹き抜けを併用した一例。吹き抜け空間を有効活用した2階の回り廊下に加え、玄関を開ければ前の路地が借景となり開放感がさらにアップする工夫も取り入れています


心配その7.開放的で広がりのある空間を作りにくい

【technic】異なる性格の部屋をつなげて変化に富んだ空間に

スキップフロアのように、屋内に段差をつけると壁や扉がなくても自然に仕切りができ、それぞれの部屋が緩やかにつながった奥行きのある空間となります。また視覚的にも高低差が生まれるため、空間を大きく見せる効果も。
バリアフリーを重視する住まいには適さないものの、土地の課題を解消するたいへん有効な方法です。

段地・傾斜地におけるスキップフロアの一例です。性格の違う部屋が緩やかにつながり、どの部屋にいても広がりを感じるだけでなくワクワクする空間を実現しています



道路に面している方角別の住環境イメージと特色

敷地が東西南北どの方角の道路に面しているかで、土地の使い方や間取りのつくり方も変わります。希望にかなった住まいを実現するためにも、方角別の特色を押さえて土地を探しましょう。

東側

〇…朝は家の奧まで光が届く
〇…冬の朝は日差しが部屋を暖めてくれる
△…日照時間が短い
△ …夏は朝から室内温度がぐんぐん上がる

西側

〇…夕方は家の奧まで光が届く
〇…冬の午後は日差しが部屋を暖めてくれる
△…夏は西日対策が必要
△…冬の午前中は寒い

南側

〇…日当たりがよく明るい家になりやすい
〇…資産価値がほかの土地よりもやや高い
△…大きな窓を設けると道路からの視線が気になる
△…土地価格が高い

北側

〇…南に居室や庭を設ければ、プライバシーが確保された住環境がつくれる
〇…土地価格が安い
△…日当たりが悪い
△…北側に水回りを配置すると外構の見栄えがよくない


教えてくれたのは

京都建築専門学校
佐野春仁 教務主任
よしやまち町家研究室代表

京都大学工学部建築学科卒業。一級建築士。財団法人啓明社理事やNPO法人緑の列島ネットワーク理事などを務める。京都市平成の京町家伝統型モデル棟の設計をはじめ、伝統や文化を生かした研究・開発などに取り組む

京都でかなえる家づくり表紙

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